「やっぱり遺言書があった方がいい」相続人の中に認知症の人がいる場合

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「やっぱり遺言書があった方がいい」相続人の中に認知症の人がいる場合

2023.5.15コラム

こんにちは、司法書士の安達です。

本日は遺言書を残しておいた方がいいケースとしてよく紹介される「相続人の中に認知症の人がいる場合」について、書いていきます。 


遺言書がないまま亡くなると、その人の財産は、相続人同士の“遺産分割協議”によって分配します。

最近、亡くなる方の年齢が90歳以上と長生きされていることが多いため、相続人の中に認知症の方がいることが、かなり多くあります。


認知症の人がいても、家族が代わりに遺産分割協議書にサインしてもバレないでしょ、なんて思っている方がいますが、これ、ヤバいです。

 

認知症で遺産分割内容を理解していない人を含めて、遺産分割協議をした場合、その遺産分割協議は無効になります。また、遺産分割協議書に勝手に代筆した場合は、偽造で犯罪です。

 

親族では遺産分割協議の話がまとまっているし、代筆してもバレる事ないから大丈夫、なんて思っている方、それも危険です!

 

確かに、亡くなった直後の相続手続きではバレないかもしれませんが、

後々その認知症の相続人に対して、何らかの事情で後見人が就いた場合や、実は遺産分割に納得していない親族がいた場合に、あの時の遺産分割協議は、認知症だったから無効だ!なんて言われることも。

そうなると、損害賠償請求される可能性があります。

 


では、相続人中に認知症の人がいた場合は、どうすればいいのでしょうか?

この認知症の相続人のために、後見人を家庭裁判所で選任して、この後見人と遺産分割協議を行う必要があります。

後見人選任の手続きには3ヶ月程度要しますので、その間の相続手続きはストップせざるおえません。


また、成年後見人に親族以外の例えば司法書士が選ばれた場合は、その司法書士に一生報酬(月額3~5万円ほど)を払わなくてはなりません


また、後見人は認知症の方の財産を守る役目があるため、遺産分割協議でも、法律で決まっている相続分よりも少ないような遺産分割をOKすることはほぼないです。自由な財産の分配方法は難しくなります

 


つまり、遺言書がなく、相続人に認知症の方がいて、後見人を選任しなくてはならなくなる……これはデメリットばかりなのです。

※認知症の場合でも、軽度で、自分で内容を理解して判断できるのでしたら、遺産分割協議はご自身で進められます

 

 

そうならないためにも“遺言書”を残しましょう。

遺言書があれば、上記のような遺産分割協議も不要で、自由に財産の承継先を決められます。残された家族も苦労しなくて済みます!

 



なお、補足すると、、、

相続人の認知症の人にも財産を残したい、その人が遺産を利用できるか不安だ…という場合は、遺言書と合わせて家族信託契約も行うのがお勧めです。

なぜなら、認知症の人のために遺言書で遺産を残したとしても、認知症で判断能力がないと、法律上は利用することができないからです。

家族信託と遺言書を組み合わせれば、認知症の人のために法的に財産管理してくれる人を指定することもでき、安心安全です。

 

お気軽にご相談ください、お客様に最適な対策方法をご提案いたします。 

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